水害の種類や起こりやすい場所など水害の基本家庭でできる対策についても紹介

水害は、河川の氾濫、土砂災害、高潮、都市型の内水氾濫など、さまざまな形で私たちの生活を脅かします。
これらの災害は、特に川の近くや低地、斜面地、沿岸部、そして都市部など、特定の場所で発生しやすい傾向があります。
水害の特徴や種類、起こりやすい場所について正しく理解することは、身を守るための第一歩です。

本記事では、水害の基本的な知識として、その種類や発生しやすい場所をわかりやすく紹介します。
また、家庭でできる水害対策についても取り上げ、日頃からの備えがいかに大切かを考えます。

水害の基本
- 日本で実際にあった水害
- 水害の起こりやすい場所
家庭ですぐにできる事前対策
- 事前対策
- 避難準備
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水害の基本

まずは、水害の基本を知りましょう。

水害とは、豪雨や洪水、台風などで引き起こされる水による災害のことを指し、「外水氾濫」と「内水氾濫」の2つに分けられます。

外水氾濫とは、河川の水量が増加し、堤防を越える「越水」や堤防が決壊する「破堤」によって周辺地域が浸水する現象です。
主に豪雨や台風の際に大量の雨水が河川に流れ込むことで発生します。

内水氾濫は、大雨が排水能力を超える量で降り、排水路や下水道が機能しなくなることで起こる浸水現象のことです。

では、水害が起こるとどのような被害が出るのでしょうか？

次項で、実際に日本で発生した水害の事例をもとにした被害の様子、水害の起こりやすい場所とその特徴を具体的に紹介します。

日本で実際にあった水害

■平成30年7月豪雨（2018年）
前線や台風第7号の影響で、西日本を中心に、日本各地でこれまでにないような大雨
死者200人以上、被害額は約1兆円

＜主な被害＞
・河川の氾濫や浸水害が多数発生、住宅や施設が広範囲で水没
・土砂災害が各地で発生し、多くの家屋が倒壊・埋没
・死者・行方不明者が多数にのぼる深刻な人命被害
・水、通信障害（電話の不通）などライフラインが広範囲で被害
・鉄道の運休など、交通機関にも大きな影響

■令和元年東日本台風（台風19号・2019年）
台風第19 号の接近・通過に伴い、広い範囲で大雨、暴風、高波、高潮が発生
東日本を中心に広い範囲で甚大な被害
死者90人以上、住宅の浸水被害多数

＜主な被害＞
・静岡県・関東甲信・東北地方を中心に河川の氾濫
・土砂災害や浸水被害が各地で発生し、多数の住宅や建物が被災
・高潮や高波も発生し、静岡県・神奈川県・伊豆諸島では過去最高潮位を超える潮位を記録
・電気・水道・通信などのライフラインが各地で寸断され、生活に大きな影響
・鉄道・航空などの交通機関も大規模な運休・遅延

■熊本豪雨（令和2年・2020年）
令和2年7月3日から31日にかけて続いた大雨により、日本各地で甚大な被害が発生し
特に、九州、岐阜、長野を中心に7県に大雨特別警報が発表されるなど、深刻な災害となった
高齢者施設などで多数の犠牲者

＜主な被害＞
・球磨川、筑後川、飛騨川、江の川、最上川など大河川が相次いで氾濫、流域の住宅・施設が浸水し、多数の建物が損壊
・土砂災害や低地の浸水被害が広範囲で発生し、多くの地域で住家の倒壊や道路寸断が生じた
・長野県・高知県などでは総降水量が2,000ミリを超える地点もあり、九州南部・北部、東海、東北の各地で観測史上最大の降水量を記録
・多数の死者・行方不明者が発生
・交通や生活インフラも大きな影響を受け、鉄道の運休、道路の崩落、断水、停電などが各地で発生

気象庁HPより抜粋

https://www.data.jma.go.jp/stats/data/bosai/report/2019/20191012/20191012.html

https://www.data.jma.go.jp/stats/data/bosai/report/2020/20200811/20200811.html

水害の起こりやすい場所

■川の近く（河川の周辺）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

大雨や上流での降水によって川の水かさが一気に増えた場合、氾濫が起こる危険があります。
特に、川がカーブしている場所や、他の川と合流する場所は水がたまりやすく、より注意が必要です。

起こりうる被害：洪水・浸水

◆低い土地（低地・盆地・川の合流点）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

周りより地面が低い場所では、雨が降ると水がたまりやすく、浸水の被害が起こりやすくなります。特に、川が合流する場所や盆地などでは、排水が追いつかず、内水氾濫（ないすいはんらん）などが発生しやすくなります。

起こりうる被害：内水氾濫（排水できずにあふれる）、床上・床下浸水
例：都市の下町エリア、川沿いの農地など

■急な斜面や山のふもと　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

山の近くや急な斜面のある場所では、大雨によって地面に水がしみこみすぎると、土砂災害が起こりやすくなります。命に関わる危険があるため、特に注意が必要です。

起こりうる被害：土砂災害（がけ崩れ・地すべり・土石流）
例：山間部の集落、住宅地の裏山など

■海に近い場所（沿岸部）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

海のそばにある地域では、台風や強い低気圧の影響で「高潮」が起こることがあります。海の水が押し寄せて、家や道路が海水で浸水する恐れがあります。

起こりうる水害：高潮・津波による浸水
例：港町や海岸沿いの住宅地

■都市部（特に下水道が古い場所）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

都市部では、地面がアスファルトやコンクリートでおおわれているため、雨水が地面にしみこみにくく、短時間に大量の雨が降るとすぐに水がたまってしまいます。特に下水道が古くて排水能力が弱い場所では、道路や地下施設が内水氾濫（ないすいはんらん）によって浸水することがあります。

起こりうる水害：都市型水害（内水氾濫）
例：大都市の低地

家庭ですぐにできる事前対策

ここからは、誰にでもすぐできる事前対策や避難準備を紹介します。

事前対策

■自宅の排水路・側溝の清掃と点検　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

落ち葉やゴミ、泥などで排水路が詰まっていると、雨水があふれて床下に流れ込む原因になります。
→ 定期的に側溝や排水口を掃除し、水の流れを確保しましょう。

■敷地の傾きや排水の見直し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

家の周囲が低くなっていたり、地面が住宅側に傾いていると雨水が集まりやすくなります。
→ 家の周囲に透水性の高い砂利や砕石を敷くと、水が地面に吸収されやすくなり、表面を流れる水の量を減らすことができます。

■防水・止水アイテムの活用　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

大雨が予想されるときには、簡易的な止水グッズで水の侵入を防ぐことができます。
以下のようなアイテムを事前に準備しておくとよいでしょう。

・土のう（簡易水のう）
土のう（土嚢）とは、土を詰めた袋で、水の侵入を物理的に防ぐシンプルな止水アイテムです。
玄関、通気口、敷地の出入口など、水が入りやすい箇所に積んでバリケードを作ります。
また、ビニール袋や専用の吸水型土のう（高分子吸水材入り）を使った「簡易水のう」は、軽量で保管がしやすく、使用前はコンパクトなためこちらもおすすめです。

・止水板
止水板とは、アルミや樹脂でできたパネル状の防水板です。
玄関や車庫などの入り口に取り付けることで水の侵入を遮断します。

・防水シート
床下の通気口や換気口、窓枠のすき間などを一時的に覆って水の侵入を防ぐために使います。
通気口に水が入りそうなとき、ガムテープやサンドバッグで押さえつけるように貼ったり、雨どいの漏れや側溝のあふれ対策としても応用できます。
※ただし、換気を妨いでしまうため、常時ふさがないように注意しましょう。

避難準備

■地域のハザードマップを確認　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

浸水リスクがある地域を事前に把握しておくことで、早めの避難や対策につながります。
特に梅雨や台風シーズン前には、チェックするようにしましょう。

■非常持ち出し袋を準備　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

・飲料水　→最低でも1人1日3リットルを目安に、数日分
・非常食　→缶詰や乾パン、エネルギーバーなど、火を使わずに食べられるものが便利
・懐中電灯と予備の電池　→停電時の必需品　手回し充電式やLEDタイプがおすすめ
・常備薬・救急セット　→普段飲んでいる薬や、絆創膏・消毒液など
・スマートフォンの充電器やモバイルバッテリー　→緊急連絡や情報収集に必要
・現金　→停電でカードが使えない場合に備えて、小銭も含め準備
・マスクや消毒液　→感染症対策として

※その他
携帯ラジオ、予備の衣類、タオル、ビニール袋、重要書類のコピー（保険証、身分証明書など）、カッターやライターなどもあると安心です。

浸水による被害は、外から見ただけでは分かりにくいことも多く、実際には深刻な損傷を受けている場合があります。

復旧には時間も手間もかかり、生活への影響は長期にわたることがあります。だからこそ、水害は「起きてから対応する」のではなく、「起きる前に備える」ことが大切です。

それでも、もし浸水の被害を受けてしまった場合には、無理に自分だけで対応しようとせず、状況に応じて専門業者の力を借りることも検討しましょう。

安全で確実な復旧のためには、専門的な知識と技術が必要になるケースもあります。