
孤独死や事故現場、ペット臭など、通常の清掃では対応しきれない深刻な汚れや臭いには、「特殊清掃」が必要です。
プロはいったいどんな洗剤や薬剤を使用しているのでしょうか。
特殊清掃では、まず臭いの原因物質を分解し、菌やウイルスを除去しながら清掃を進めます。
その際に使用される洗剤や薬剤は、市販品とは異なり、高い分解力と殺菌力を持ち、臭いや血液、体液、腐敗物などの除去に特化して開発されています。
本記事では、そうした特殊洗剤の特徴や種類、実際にどのように使用されているのか、現場での工程とあわせて詳しく解説していきます。
特殊清掃で使用される洗剤・薬剤

特殊清掃の現場では、「見た目をキレイにする」だけでなく、衛生面のリスク排除や悪臭の根本的な除去が求められます。
作業は、大きく「消毒」「汚れを落とす」「臭いを消す」という3つに分けることができます。
洗剤や薬剤も、この作業ごとに適したものを使うのです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
【目的別】使用される洗剤・薬剤
■消毒に使われる洗剤・薬剤
特殊清掃の現場では、ウイルスや細菌、カビなどの微生物を除去し、感染症のリスクを抑えることが重要です。
特に、血液・体液・動物の排泄物などが関わる現場では、適切な消毒処理が欠かせません。
単に見た目をきれいにするだけでは不十分で、目に見えない病原体まで徹底的に処理する必要があります。
<<よく使われるもの>>
・次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)
・過酢酸系薬剤・クレゾール石けん液など
・エタノール(アルコール系)
■汚れを落とす洗剤・薬剤
特殊清掃の現場では、ただ汚れを拭き取るだけでは不十分です。血液・体液・腐敗液・排泄物といった有機汚れは、見た目の汚れだけでなく臭いや衛生リスクの原因にもなるため、根本から分解・除去する洗剤が必要です。
壁や床、家具に付着したシミや、ごみ屋敷のように長期間放置されて蓄積した汚れなど、通常の家庭用洗剤では歯が立たない頑固な汚れに対応します。
<<よく使われるもの>>
・強アルカリ性洗剤
・クエン酸・酸性洗剤
・中性洗剤(素材にやさしいタイプ)
■臭いを消す洗剤・薬剤
「汚れを落とす」ことと同じくらい重要なのが、強烈な悪臭を取り除く作業(脱臭・消臭)です。
孤独死現場、動物の死骸、腐敗液、排泄物、カビなどから発生する臭いは非常に強く、ただ表面的に清掃しただけでは消えることはありません。
そのため、臭いの原因となる物質そのものを化学的・生物学的に分解または中和する専用の薬剤が使われます。
また、臭いの種類や範囲に応じて、複数の消臭手段を組み合わせるのがプロの技術です。
<<よく使われるもの>>
・消臭酵素剤(脱臭酵素)
・植物由来の消臭・抗菌剤
・オゾンガス(機械による処理)
これらの洗剤は、市販品でもよく見かけますが、違いはあるのでしょうか?
市販の洗剤や薬剤は、肌へのやさしさや安全性を重視して作られており、誰でも手軽に使えるようにあらかじめ薄められているか、簡単に使えるように設計されています。
その分、強いニオイやひどい汚れには対応しきれないことが多いのが現実です。
業者によっては洗剤・薬剤を独自開発している
特殊清掃業者の中には、実際の現場での経験を活かして、独自に洗剤や消臭剤を開発しているところもあります。
例えば、複数の薬剤を組み合わせて、自社オリジナルの配合をつくり、洗浄力や消臭力を強化したり、植物由来の成分を使って、安全性に配慮した消臭剤を開発したりします。
市販や既製品では対応できないニオイや汚れに対して、より実践的で柔軟なアプローチを取っているのが、プロ業者ならではの強みです。
特殊清掃業者による作業例

洗剤・薬剤は実際の現場でどのように使われているのでしょうか。
弊社クリーンメイトで行った実際の作業例を使ってみていきましょう。
■ケース1:消臭
<状況>近隣住民からの報告によりご遺体発見 賃貸住宅室内にて孤独死
<状態>死後1ヶ月は経過
<臭気レベル>中
<使用薬剤>
・除菌ナイン(除菌剤)
・汚れナイン(汚染箇所洗浄)
・臭いナインプロテクト(特殊コーティング塗装)
・臭いナイン(消臭)
※クリーンメイトではグループ会社と共同で開発した専用薬剤を使用しています。
従来の市販薬剤と違い、臭気物質に即座にアプローチし汚染臭気をいち早く軽減することができます。
また環境への負荷の少ない植物由来の薬剤を使用していますので安心して頂いております。
<作業流れ>
①室内の消毒、感染物飛散防止のため除菌剤(除菌ナイン使用)を散布
この工程によりスタッフへの一次感染・外部への二次感染を予防します。
↓
②体液や血液が付着している汚染物の梱包作業を行い、慎重に撤去
↓
③汚染箇所や窓・扉などの洗浄(汚れナイン使用)、清掃作業
あらゆるところに臭いが染みついているので、しっかり洗浄・清掃しておかないと臭気は低減されません。
↓
④クロス・CFの剥離作業スタート
※体液・血液が付着していた箇所は、下の床板・壁板にまで浸透してしまっていることが多いです。
このような場合は、部分的な解体作業を行う必要があります。
↓
⑤必要最低限の箇所を解体
↓
⑥床スラブ(鉄筋コンクリートでできた構造床の床板)などに体液が浸透している場合は洗浄後に特殊コーティング塗装(臭いナインプロテクト使用)
↓
⑦消臭作業
消臭中和還元剤散布(臭いナイン)使用、工法特許取得済
↓
⑧後日複数回に渡り現場へ伺い、外気との臭気に差異がないことを確認
↓
終了
特殊清掃のことならお任せください

本記事では、特殊清掃で使われる洗剤とはどんなもの?ひどい臭いや汚れを除去する方法という部分に焦点を当てて解説しました。
【内容まとめ】
・特殊清掃で使用される洗剤・薬剤の特徴
・目的別使用される薬剤 【消毒】【洗浄】【消臭】
・一部業者はオリジナル薬剤を開発
・実際の現場での使用例(孤独死現場の消臭作業)
特殊清掃についてお悩みでしたら、プロである私たち業者にまずはお気軽にご相談くださいませ。
現在悩まれている方にとって本記事の内容がお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。