
親族が孤独死や事故死で亡くなった場合、遺族には特殊清掃という想定外の負担が発生するかもしれません。
特殊清掃は、通常の清掃では対応できないような死後の汚染・臭気・害虫発生などを処理する作業で、その費用には数十万円ほど、場合によってはもっとかかることもあります。
こうした費用をめぐって、「相続放棄をすれば払わなくて済むの?」「すでに清掃を依頼してしまったけれど、費用はどうなるの?」といった疑問や不安を抱く人は少なくないでしょう。
このページでは、相続放棄と特殊清掃費用の関係について、誰が支払う義務を負うのか、また注意すべき点やトラブルを避けるためのポイントを、わかりやすく解説していきます。
特殊清掃にかかる費用
まずは、特殊清掃にかかるおおよその費用を把握することからはじめましょう。
特殊清掃費用の一般的な相場は、おおよそ8万円〜70万円程度です。
費用は、主に「部屋の間取り」と「作業内容」によって決まりますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
特殊清掃費用相場
以下は、部屋の広さ別の目安金額です。
■間取り 目安の費用
1K~1R(約18~23㎡) 約80,000円~300,000円
1DK~3LDK(約25~40㎡) 約200,000円~400,000円
4DK~(約70㎡~) 約300,000円~600,000円
家財量が多いお部屋(ゴミ屋敷など)の特殊清掃 要見積り
基本的に費用は部屋の大きさに比例して高くなります。
つづいて、作業内容別の費用相場を見ていきましょう。
■作業内容
・体液・血液などの清掃作業 約33,000円~100,000円 (目安)
・浴室での清掃作業
(体液・血液や沈殿した骨・髪などの除去も含む) 約49,500円~100,000円 (目安)
・基本の消毒・除菌・消臭作業 約11,000円~30,000円(目安)
・汚染品の撤去作業 約7,700円~(目安)
・汚染畳の撤去作業 約3,300円~9,000円/枚(目安)
・臭気除去作業 約11,000円~50,000円(目安)
※1Kもしくは1Rの広さを基にした料金目安です
上記すべての作業が必ずしも必要という訳ではなく、現場の状況によって作業内容は違ってきます。
そのため、汚染されたエリアが広いとその分必要な作業も増え、費用も増加します。
費用は誰が払うのか?支払いの基本ルール
支払いについての基本のルールを確認しましょう。
特殊清掃費用の支払いは、原則として、亡くなった人(賃借人)の財産から支払われます。
特殊清掃費用は、「故人の負債」として扱われますので、相続財産を使って相続人が負担するのが一般的です。
相続放棄との関係性
つづいて、殊清掃費用と相続放棄の関係についてみていきましょう。
相続放棄をしたらどうなる?
相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の財産も借金も一切引き継がないという法的手続きです。
家庭裁判所で正式に相続放棄をすれば、その人は最初から「相続人ではなかった」ことになります。
そうなると、特殊清掃費用の支払いはどうなるのでしょうか?
前述の通り、特殊清掃費用は、基本的には被相続人の財産(預金、不動産など)から支払われるべきものです。
そのため、
■ 相続放棄をすれば、支払う義務はない
相続放棄を正式に行えば、その人は法的には「相続人ではない」と見なされ、原則として特殊清掃費用を支払う義務はないということになります。
そして、
■清掃費用は基本的に「相続財産から支払う」
被相続人に残された現金や預金などがあれば、特殊清掃費用はその中から支払われるのが原則ですので
相続放棄をして誰も相続しない場合は、「相続財産管理人」が選任され、
その人が財産を整理し、清掃費用などの支払いを行うことになります。
◆相続財産管理人とは誰がなるの?
一般的には、以下のような人が裁判所に選ばれます
・弁護士(最も多い)
・司法書士(地域によっては)
・専門的な財産管理の経験を持つ人
※一般の親族等が任命されることはほとんどなく、法律の専門家が担当します。
ただし注意すべき点があります。
相続放棄をする場合の注意点
■清掃業者への依頼は慎重に!
相続放棄を検討している状態で、自ら特殊清掃業者に依頼してしまうと、
「相続人としての行動」だと見なされる可能性があります。
※「相続財産の処分」と判断されると、相続放棄が認められなくなるケースもあります。
■契約をすると「個人の支払い義務」が発生する
相続放棄をした後であっても、自分の名前で清掃業者と契約した場合は、
その人が費用を支払う責任を負うことになります。
※相続放棄をしても、個人が契約した内容までは免責されないためです。
■管理義務とのバランスに注意
民法上、正式に相続放棄をするまでは、相続人には「相続財産の管理義務」があります。
たとえば、近隣住民に悪臭や害虫などの被害が出ている場合、最低限の管理措置は必要とされることがあります。
※管理義務と財産処分の線引きは難しいため、弁護士など専門家に相談をするのがよいでしょう。
特殊清掃のことならクリーンメイトにご相談ください

本記事では、相続放棄をした場合、特殊清掃費用は誰が払うの?わかりやすく解説という部分に焦点を当てて解説しました。
【内容まとめ】
・特殊清掃費用の相場は8万円〜70万円程度、「間取り」「汚染状況」「作業内容」によって変動
・特殊清掃費用の支払いは、基本的に相続財産から
・相続放棄をすれば、支払い義務は原則なくなる
・<注意点>放棄前に清掃依頼・契約すると支払い義務が発生する
・相続放棄前は「最低限の管理義務」がある
特殊清掃を行う際、まずは故人に対する供養の気持ちを大切にしていただきたいと思っております。
お悩みでしたら、プロである私たち業者にまずはお気軽にご相談くださいませ。
現在悩まれている方にとって本記事の内容がお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。