
血液のシミは通常の汚れとは異なり、タンパク質や鉄分を多く含むため、放置すると酸化して落ちにくくなり、衛生面や臭いの問題を引き起こします。
日常の軽い出血でできたシミであれば、家庭での対処が可能なケースもありますが、大量の血液が付着していたり、長時間放置された場合には、通常の掃除では不十分なことも少なくありません。
特に事件・事故・孤独死などが関係する現場では、見た目以上に深刻な汚染が進行していることがあり、専用の薬剤や機材、そして専門的な知識を持つ特殊清掃業者による対応が必要です。
本記事では、血液のシミを家庭で安全に除去できる範囲と、衛生的・法的な観点からもプロの力を借りるべきケースについて解説します。
家庭で除去できる代表的なケースとその方法

まずは、衣類等家庭で落としやすいケースをご紹介します。
■ついたばかりの新しいシミ(数分〜数時間以内)
成功率:★★★★★
状態:まだ湿っているもしくは、乾ききっていない
素材:コットン、ポリエステルなど水洗い可能な素材
対応:冷水ですすぐ → 中性洗剤で軽くもみ洗い → よくすすぐ
■1日以内の乾いたシミ
成功率:★★★★☆
状態:乾いているがまだ色が濃く残っている
素材:水洗いできる衣類・シーツ・タオルなど
対応:酸素系漂白剤を使う → 10分ほど置いてもみ洗い → 冷水ですすぐ
■布団やマットレスのカバーに少量ついたシミ
成功率:★★★☆☆
状態:目立つが範囲が狭い、カバーのみ汚れている
素材:カバーが取り外せて洗える素材
対応:血の部分を水で濡らし、酸素系漂白剤を塗布 → 時間をおいて洗濯
プロに任せるべき血液のシミ

つづいて、クリーニング店や特殊清掃業者などプロに任せるべきケースを紹介します。
クリーニング店に任せるべきケース(衣類等)
下記のような場合は、自力で落とすのが難しく、クリーニング店に任せるのがおすすめです。
■数日~数週間以上放置された衣類
血液が付着してから時間が経つと、血液中に含まれるタンパク質や鉄分が酸化し、生地の繊維にしっかりと定着してしまいます。この状態になると、家庭用の洗剤や漂白剤では完全に分解・除去することが難しくなります。
無理にこすったり強い薬剤を使っても、シミが落ちないばかりか生地を傷めてしまう恐れがあります。
■布団に染み込んだ血液
血液が生地や素材の内部まで浸透してしまうと、雑菌の繁殖や悪臭の原因となることがあります。表面の汚れを取り除くことはできても、奥深くに染み込んだ血液までは完全に除去できないため、ニオイや黄ばみが残ってしまう可能性があります。
■高価・一点ものの衣類(スーツ・礼服・着物など)
高価な衣類や一点ものの場合、シミ抜きに失敗した際のダメージが大きく、リスクも高いため、慎重な対応が求められます。家庭で処理した場合、たとえ血液のシミがある程度落ちたとしても、「輪ジミ」と呼ばれるシミ跡が残ってしまうことがあり、かえって見た目を損ねてしまう可能性があります。
特殊清掃業者に任せるべきケース(室内等)
下記のように、室内に血液が広がってしまっている場合は、自力で清掃しようとせず、特殊清掃業者にまかせてください。
■事件・事故・自死・孤独死の現場で血液が広範囲に残っている
このような現場では、血液だけではなく、体液や強い臭気、さらには害虫の発生が伴うことも少なくありません。
ウイルスや細菌に感染する危険性もあるため、適切な知識と装備のないまま作業を行うことは非常に危険です。
特殊清掃業者の対応:
・消毒剤などを使った感染症対策
・消臭、除菌、害虫駆除まで一括処理
■マットレス・畳・床下にまで血液が大量に染み込んでいる
内部まで浸透した血液は時間とともに腐敗し、悪臭や細菌の温床となる恐れがあります。
特に畳や床材の場合は、床板を剥がして内部まで清掃・消毒しなければ、完全に除去することは難しいのが現実です。
特殊清掃業者の対応:
・床材の解体、交換、除菌、乾燥、修復まで一貫処理
・必要であれば、作業記録や作業証明書の発行
■大量の血液・体液が発生して長時間放置された場合
例えば、孤独死後に発見が遅れたケースや失血による死亡などでは、血液が時間の経過とともに黒く酸化し腐敗してしまい、強い悪臭や害虫の発生が見られることがあります。
このような状況では、家庭での換気や市販の洗剤による清掃では十分に対応できず、また汚染された物の適切な廃棄処理を行うことも非常に困難です。
特殊清掃業者の対応:
・腐敗液や臭気の除去
・汚染家具、布団、家電などの廃棄
・必要であれば遺品整理も対応
特殊清掃業者による血液除去<実例>
ここからは、弊社クリーンメイトで実際に施工した作業例を使って、実際の清掃方法を見ていきましょう。
■ケース1 孤独死
<状態>布団上から壁・床に体液と血液が付着
<使用薬剤>
・汚れナイン(汚染箇所洗浄)
・除菌ナイン(除菌剤)
・臭いナイン(消臭)
<作業流れ>
①室内の環境改善のため除菌剤(除菌ナイン)を散布
この工程によりスタッフへの一次感染・外部への二次感染を予防します。
↓
②体液や血液が付着している汚染物の梱包作業を行い、慎重に撤去
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③汚染箇所や窓・扉などの洗浄、清掃作業
あらゆるところに臭いが染みついているので、しっかり洗浄・清掃しておかないと臭気は低減されません。
↓
④クロス・CFの剥離作業スタート
※体液・血液が付着していた箇所は、下の床板・壁板にまで浸透してしまっていることが多いです。
このような場合は、部分的な解体作業を行う必要があります。
↓
⑤必要最低限の箇所を解体
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⑥特殊コーティング塗装
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⑦消臭作業をおこないます。
↓
⑧後日もう一度現場へ伺い、外気との臭気に差異がないことを確認
↓
完了
特殊清掃のことならお任せください

本記事では、【血液のシミ除去】家庭でできる場合とプロに依頼すべき場合という部分に焦点を当てて解説しました。
【内容まとめ】
・血液のシミは時間が経つと酸化して落としにくくなり、悪臭や衛生リスクの原因となる
・家庭で対応できるのは、ついたばかりの血液や洗える素材に限られる
・衣類や布団などで、シミが定着している・高価・素材がデリケートな場合はクリーニング店に依頼すべき
・室内での大量の血液汚染や長時間放置されたケースでは、特殊清掃業者による対応が不可欠
・特殊清掃では、除菌・洗浄・解体・コーティング・消臭まで徹底対応
特殊清掃についてお悩みでしたら、のプロである私たち業者にまずはお気軽にご相談くださいませ。
現在悩まれている方にとって本記事の内容がお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。