
賃貸物件で火災が発生した場合、入居者・オーナー双方にとって大きな問題となるのは「原状回復」や「修繕」にかかる費用ではないでしょうか。
小規模なボヤから建物全体に被害が及ぶような大規模火災まで、火災の規模や原因によって費用の負担額や責任の範囲は大きく異なります。
本記事では、賃貸物件で火災が起きた際の原状回復や修繕にかかる費用の相場について解説します。
火災現場の原状回復費用

賃貸で火災が発生した場合、原状回復が必須となりますが、気になるのは、その「費用を払うのは誰なのか」、「いくらくらいかかるのか」ですよね。
順番に見ていきましょう。
賃貸の場合、原状回復や修繕費用を払うのは誰?
■借主に重大な過失や故意があった場合
→借主(入居者)が原則として修繕費用を負担する責任があります。
<例>
・タバコに火をつけたまま寝てしまい、布団やカーテンに燃え移った
・調理中にうっかり外出してしまい、鍋が空焚きになって火災発生
・洗濯物やカーテンなどの近くで暖房器具(ストーブ等)を使用し発火
■借主に過失がない、または軽い過失の場合
→原則として、貸主(大家)が修繕費用を負担します。
<例>
・壁の中の電気配線のショート、老朽化したコンセントの発火、ブレーカーの故障など
・説明書どおりに使用していた電子レンジ、ドライヤー、冷蔵庫などが突然発火した
■隣人の火災で延焼した場合
→原則として、貸主(大家)が修繕費用を負担します。
<<なぜ借主が負担しないの?>>
隣人の部屋が火元で、そこから借主の部屋に火が燃え移った(延焼した)場合、
借主は火災の発生に関与していないため、損害賠償責任を負う立場にはありません。
また、日本には「失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)」があり、過失による火災で他人に損害を与えても、重大な過失がない限り、損害賠償責任は負わないという原則があります。
つまり、火元の住人も「重大な過失(例:故意に火を放つ、明らかな怠慢)」がなければ、延焼先に対して法的な賠償義務はないということになります。
修繕・原状回復の費用の予想
ここからは、部屋の一部が焼けた、燃えた範囲が中程度のケースを仮定し、費用がいくらくらいかかるのかを予想してみたいと思います。
下記は、火災後の原状回復の際に行う、主な作業や工事とその費用の目安です。
修繕内容 費用の目安(概算)
焼損部位の解体・撤去(壁・床・天井一部) ¥100,000〜¥200,000
壁・天井のクロス貼り替え(20〜30㎡分) ¥50,000〜¥100,000
床材(フローリングなど)の部分張替え ¥30,000〜¥100,000
スス・臭い除去(オゾン脱臭など) ¥30,000〜¥80,000
設備交換(換気扇、照明器具など) ¥30,000〜¥100,000
電気配線・スイッチ類の修理 ¥20,000〜¥50,000
ハウスクリーニング(全体) ¥30,000〜¥80,000
このことから、
部屋の一部が焼けた、燃えた範囲が中程度の場合
その原状回復・修繕費用は、約 300,000〜700,000円(税込)程度ではないでしょうか。
※この金額は実費総額であり、保険による補償を受けることで実際の自己負担は軽減される可能性があります。
保険でカバーできる可能性
先ほど少し触れましたが、火災の場合、保険によるカバーができる可能性があります。
多くの賃貸契約では、入居時に「火災保険への加入」が義務付けられており、以下のような保険がセットになっていることがほとんどです。
万が一に備えて、補償内容と保険金額をあらかじめ確認しておきましょう。
・火災保険(借主加入)
借主の家財(家具・家電など)の損害
・借家人賠償責任保険
貸主の建物に与えた損害(原状回復費用)を補償(例:修繕費用500万円まで等)
・個人賠償責任保険(オプション)
隣室・他人の物に与えた損害
※借主の「重大な過失」があると、保険が全額補償しない可能性もあるので注意!
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本記事では、賃貸物件で火災が起きた際の原状回復や修繕にかかる費用の相場という部分に焦点を当てて解説しました。
【内容まとめ】
・誰が費用を負担するかは火災の原因によって異なる
・原状回復・修繕の費用相場は中程度の被害で約30〜70万円程度と予想
・火災保険によって自己負担を軽減できる可能性がある
火災復旧についてお悩みでしたら、プロである私たち業者にまずはお気軽にご相談くださいませ。
現在悩まれている方にとって本記事の内容がお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。