
孤独死は、遺体発見までに時間がかかるケースが多く、腐敗や体液の漏出などにより、現場には強烈な臭いが発生します。
また、事故や事件現場においても、血液や体液、その他の生物由来の汚染物が残され、通常の清掃では対処できない特殊な臭いが問題となります。
これらの臭いは、腐敗ガス、アンモニア、硫化水素、ケトン類などが混ざり合った極めて刺激的で不快なものであり、人によっては吐き気やめまいを引き起こすこともあります。
本記事では、そうした特殊清掃現場における臭いの正体や特徴、そしてなぜ簡単に消臭できないのかといった点について解説していきます。
特殊清掃で扱う臭いとは

孤独死、自殺、事故、事件などの現場では、長時間放置された遺体や大量の体液・血液、その他の有機物が腐敗・分解され、強烈な悪臭を放ちます。
これは腐敗臭・死臭(ししゅう)と呼ばれ、非常に不快な臭いです。
このような特殊清掃現場で発生する臭いの原因や種類について説明します。
死臭・腐敗臭の正体
遺体が腐敗すると、体内の微生物や細菌が内臓や筋肉を分解し、さまざまなガスや液体が発生します。
◆代表的なガス成分
硫化水素 腐った卵のような臭い
アンモニア ツンとした刺激臭
メタンやカダベリン、プトレシン 強烈な腐敗臭を伴う悪臭物質
これらが臭いの主な正体です。
この腐敗臭は、なんと、その臭いでハエやウジ、ゴキブリなどの害虫を呼び寄せます。
これらの虫が現場で繁殖すると、さらに強い異臭の原因となってしまうのです。
さらに悪いことに、密閉された室内は空気の流れがなく、臭いが部屋中にこもってしまいます。
その臭いは壁紙や床、家具などにまで染み込み、エアコンや換気扇の内部にまで入り込むこともあります。
こうなると、完全に臭いを取り除くためには、機材の分解清掃など専門的な作業が必要になります。
プロの消臭・脱臭方法
特殊清掃における消臭・脱臭は、通常の掃除とはまったく異なる高い専門性が求められます。
ここからは、特殊清掃の現場で行われるプロの消臭・脱臭方法とはどんなものなのか、
その作業内容をいくつかご紹介しましょう。
作業内容
■汚染物撤去
布団や畳だけではなく、見た目にはわかりませんが室内の家財にも臭いが染みついていることが多いため、それらを現場から運び出します。
<<プロの技!>>
これらの汚染物質を迂闊に外部へ漏らしてしまうと、近隣住民に被害が及んでしまうかもしれませんので、しっかりと汚染物質を除去洗浄・梱包してから運び出します。
■汚染箇所 部分解体
体液を拭き取ったフローリングやクッションフロアなどは目には見えなくても目地や割れ目を通じて床下などへ浸透している可能性があります。このような状態で放っておくと臭い戻りの原因となってしまいます。
<<プロの技!>>
必要最低限の部分汚染箇所を解体することで、臭いを元から断ち完全消臭を目指します。
■脱臭機による消臭
さまざまな臭気や感染物質を専用の機材を使用し除去します。
<<プロの技!>>
この機材は臭いのもととなっている物質そのものを分解する効果が期待できるものです。
市販の消臭剤や洗剤とは根本的に異なります。
■特殊コーティング塗装
上記作業を終えると、躯体部分は表面上きれいに見えますが、浸透した体液はまだ取り切れていません。
<<プロの技!>>
自己消臭する特殊厚膜コーティング塗材を躯体部とサンドイッチさせることで完全に臭いを断ち切ります。
■特殊ルームクリーニング
孤独死現場などではご遺体から発生したタンパク質性の腐敗臭が蒸発し部屋中の建材に付着してしまいます。
<<プロの技!>>
建材を傷めず対象物に直接アプローチできる特殊洗剤を数種類使い分け、臭気物質を洗浄します。
■最終確認
機材などをすべて止めた状態で最終チェック。
<<プロの技!>>
最後の確認は、人の嗅覚で行います。
必要に応じて再脱臭処理を実施することもあります。
自力での消臭は危険!
特殊清掃の現場で発生する臭いには、人体に有害なガスが含まれています。
例えば、硫化水素やアンモニアは吸い込むと吐き気や頭痛を引き起こし、重症の場合は意識を失うこともあります。
また、遺体から漏れた体液や血液には、B型・C型肝炎ウイルス、HIV、空気感染する細菌やカビなどの感染リスクも潜んでいます。
適切な装備なしでの作業は、皮膚や呼吸器を通じて健康被害を受ける可能性があります。
臭いは空気中だけでなく、壁や床、家具、カーテンなどにも染み込んでいます。
通常の掃除や市販の消臭剤では取り除けません。
誤って化学薬品を使いすぎると、逆に有害な空気が発生することもあります。
このような理由から、特殊清掃や消臭作業は、専門的な知識と装備を持つ特殊清掃業者に依頼することが最も安全で確実な方法です。
特殊清掃のことならお任せください

本記事では、孤独死や事故等 特殊清掃現場に発生している臭いってどんなにおい?という部分に焦点を当てて解説しました。
【内容まとめ】
・特殊清掃現場の臭いは非常に強烈で危険
・腐敗臭は害虫や動物を引き寄せ、悪臭が悪化
・臭いの除去にはプロの専門技術が必要
・自力での消臭は非常に危険
特殊清掃を行う際、まずは故人に対する供養の気持ちを大切にしていただき、家族や親族にとって一番いい方法を取ってもらいたいと思っております。