
マンションなどの集合住宅での「孤独死」が社会問題として注目されています。
孤独死とは、誰にも看取られずに自宅で亡くなり、一定期間発見されない状態を指します。
このようなケースが発生した場合、「その部屋は事故物件になるのか?」「特殊清掃は必要なのか?」「遺族やオーナーが負担する費用はどの程度なのか?」といった不安や疑問が生じるのは当然です。
本記事では、特殊清掃の内容や費用、さらには原状回復や今後の貸し出しに与える影響まで、具体的かつ実用的な情報を紹介します。
マンションで事故物件になるのはどんな場合?

以下のような条件が当てはまると、孤独死でも「事故物件」として告知義務が発生する可能性があります。
告知義務とは・・・不動産を売買・賃貸する際に、売主や貸主が物件に関する重要な情報(欠陥や事故歴、近隣トラブルなど)を、事前に買主や借主に正しく伝える義務のことです。
■亡くなってから発見までに時間がかかり、遺体が腐敗していた場合
数日〜数週間以上経過してから発見された場合、体液や臭気が部屋に染みつくことがあり、「心理的瑕疵(かし)」と判断されることがあります。
この場合、次の入居者に対して告知義務(事故物件としての説明)が発生する可能性が高いです。
心理的瑕疵(かし)とは・・・その物件で過去に自殺や事件、事故死などがあったことによって、住む人が不安や嫌悪感を抱くような状態のこと
■自殺や事件性のある死
明らかに自殺、他殺などで死亡したと確認された場合は、孤独死に限らず事故物件に該当します。この場合、発見の早さにかかわらず告知義務があります。
<<事故物件とされないケース>>
一方、以下のようなケースでは、基本的に事故物件として扱われないことが多いです。
■病死で、すぐに発見された場合
高齢者が持病などで自然死し、すぐに発見されて対応された場合は、事故物件とはみなされないことが一般的です。
■遺体の損傷や臭気などがほとんどない場合
部屋に影響が残っておらず、清掃や修繕が最小限で済む場合は、心理的な瑕疵(かし)と判断されないこともあります。
告知義務があるかどうかは、物件のオーナーや管理会社が判断し、不動産業者を通じて告知されます。
2021年には国土交通省から「心理的瑕疵に関するガイドライン」も出されており、「自然死や日常的な病死は原則告知不要」とされていますが、状況によっては告知が必要となるため、判断には慎重さが求められます。
特殊清掃が必要になるのはどんな場合?

ということは、特殊清掃が必要になるようなケースは、告知義務が発生しやすいと考えてもいいかもしれませんね。
では、マンションや集合住宅で、特殊清掃が必要になるのは具体的にどんな状況でしょうか?
それは、腐敗・死臭・害虫・感染症のリスクがあるような「衛生的に危険なレベル」に達しているとき
です。
■室内に遺体の痕跡が残っている
マンションで孤独死や事故が発生し、発見までに時間がかかった場合、遺体から体液や血液が床や壁に染み込んでしまうことがあります。
特にマンションは上下左右に他の住戸が隣接しているため、悪臭や汚染が近隣住戸にまで影響を及ぼすリスクも高くなります。
また、コンクリートやフローリングの下にまで汚れが浸透していることも多く、見た目に問題がなくても、臭気や衛生面のリスクが残るケースが少なくありません。
このような場合は、感染症の予防や臭気対策のためにも、専門の業者による特殊清掃が必須となります。
■強烈な臭気が広がっている
マンションの一室で遺体の発見が遅れた場合、室内に腐敗臭や異臭が充満し、その臭いが共用部や隣接住戸にまで漏れ出す可能性があります。
特にマンションは換気が不十分になりがちで、密閉性が高い構造のため、一度発生した悪臭が室内にこもりやすく、自然に消えることはほとんどありません。
また、排気口や配管を通じて臭気が他の住戸に流れ込むケースもあり、住民からの苦情やトラブルにつながることもあります。
このような場合は、市販の消臭スプレーや換気では対処できず、オゾン脱臭機や専門薬剤を使った特殊清掃が必要不可欠となります。
■ハエやウジなどの虫が多く発生している
マンションの一室で遺体の腐敗が進行すると、ハエやウジ、ゴキブリなどの害虫が発生し、室内だけでなく、換気口やドアの隙間を通じて共用部や隣室へ侵入するおそれがあります。
集合住宅であるマンションでは、虫の発生が他の住戸や建物全体の衛生環境にも影響を及ぼすため、放置することはできません。
特に共用廊下やエレベーター内での虫の目撃情報が広がると、住民からの苦情が殺到するケースもあります。
このような状況では、通常の清掃では対応できず、専門業者による害虫駆除と徹底的な特殊清掃が必要不可欠です。
特殊清掃の費用相場

つづいて、気になる費用について解説していきます。
孤独死による特殊清掃の費用の相場は、おおよそ8万円〜70万円程度が一般的です。
特殊清掃の費用は、主に「部屋の間取り」と「作業内容」によって決まりますので、次項でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
間取り別の料金目安
以下は、部屋の広さ別の目安金額です。
■間取り 目安の費用
1K~1R(約18~23㎡) 約80,000円~300,000円
1DK~3LDK(約25~40㎡) 約200,000円~400,000円
4DK~(約70㎡~) 約300,000円~600,000円
家財量が多いお部屋(ゴミ屋敷など)の特殊清掃 要見積り
表を見てわかる通り、基本的に費用は部屋の大きさに比例して高くなります。
間取り別の料金目安
つづいて、作業内容別の費用相場を見ていきましょう。
■作業内容 費用の目安
体液・血液などの清掃作業 約33,000円~100,000円
浴室での清掃作業 約49,500円~100,000円
(体液・血液や沈殿した骨・髪などの除去も含む)
基本の消毒・除菌・消臭作業 約11,000円~30,000円
汚染品の撤去作業 約7,700円~
汚染畳の撤去作業 約3,300円~9,000円/枚
臭気除去作業 約11,000円~50,000円
※1Kもしくは1Rの広さを基にした料金目安です
見ての通り、特殊清掃には清掃作業以外にも消毒・除菌、臭気除去など通常の清掃作業とは異なる特殊な作業があります。
しかし、すべての作業が必ずしも必要という訳ではなく、現場の状況によって作業内容は違ってきます。
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本記事では、マンションで孤独死が発生したら「事故物件になる?」「特殊清掃は必ず必要?」「費用はどのくらい?」という部分に焦点を当てて解説しました。
【内容まとめ】
・孤独死が発生した部屋が事故物件になるかは状況次第
・特殊清掃が必要となる状況 衛生的に危険なレベル」に達しているとき
・特殊清掃の費用相場は部屋の広さと作業内容によって決まる
特殊清掃を行う際、まずは故人に対する供養の気持ちを大切にしていただき、家族や親族にとって一番いい方法を取ってもらいたいと思っております。
特殊清掃についてお悩みでしたら、プロである私たち業者にまずはお気軽にご相談くださいませ。
現在悩まれている方にとって本記事の内容がお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。